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瘢痕

泣くことさえもできなかった
ひたすら影を睨んでいた
馬鹿みたいだと笑ってほしかった
憧れたちは熟れて腐った

本当は泣くのは怖かった
ひたすら唇を噛んだ
「馬鹿だな」「そんなことしなくていい」
そう誰かに赦されたかった

あなただけが私の傷跡に触れて
泣く場所を与えてくれたんだ

私にとってあなたはきっと
かけがえのない人 代わりなんかない
もしも他の人の匂いを知っても
あなたじゃなきゃ駄目なんだよ
あなただけがいいんだよ

どこにも行くことは無かった
煙草の匂いの部屋の中
なんにも言わず抱き合っていれば
それだけでいい
しあわせだった

あなたが隠す傷跡をただ癒したくて
癒されていたのは他でもない私だった

たとえあなたにとって私が一番じゃなくても
それでも愛してたよ
他の人と肌を重ねても忘れないでください
思い出してください

私はきっとあなたがいれば
それだけでもう 満たされ続けたから
独りよがりで馬鹿みたいでも
あなたじゃなきゃ駄目なの
あなただけがいいんだよ
あなただけが愛しい
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