幻 窓の向こうに朝陽が差すカーテンを摺り抜ける光が目を焼いた照らさないでよ、布団に潜って花の枯れた日を思い出すひとりきりは退屈だろう笑った顔が瞼を離れないいっそ盲目になってしまえば思い出だけで生きていけるのでしょうかたった一歩踏み違えただけの道が途方もなく大きくズレて戻れなくなったどうして、声も匂いも体温も何一つ遺ってないのに窮屈な檻を捨てて差し出された手を取った、筈だったのにいっそ後悔できないくらい完膚無きまでの終わりならよかったたった一度繋がっただけの体が途方もなく疼いて愛しくて泣いてるきっと、幻だけでずっと愛せるでしょう花が咲いたあの日を抱いて、抱き合って眠るだけのささやかなひとときがしあわせな思い出たった一歩踏み違えただけの道がこんなにもあなたを遠ざけてしまうなどとどうして、声も匂いも体温も何もかも憶えているのにたった一度繋がっただけの体がこんなにもあなたを求めて泣いてるきっと、幻を愛し悔やみ続けるのでしょう花の枯れたあの日を窓の向こうに朝陽が差す光の中で誰かの輪郭が揺れてる PR