蝉時雨 泣いていたのは君じゃなくて、夕日が沈むのを恐れたひとりになるのが怖くて、君に縋りつきたかった僕だった赤い夕焼け染まる指先二つ影を曳いて坂道を登る、蝉は擦れた声叫びながら息絶え二つ影は伸びてそして手を振る、呼び止めた声、君の指が明日も繋げるかなんて不安になって怖がった僕に笑って、君が笑って、世界がきれいだった茜に染まる景色が歪む一つ影を踏んで心臓は痛む、風は葉を揺らして凍えながら踊った一つ影が消えたいつか、忘れて泣いていたのは、君じゃなくて夏が終わるのを恐れた臆病な空蝉の僕は君を求めて、たった一つが言えないまま秋茜が飛ぶ頃沁みた黄昏に、泣いていたのは君じゃなくて、夕日が沈むのを恐れた想い出になるのが嫌で、君を愛したかった、あの日の僕で PR