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咆哮

懐かしい声を聞いた
まだもどかしい春のままで
往き過ぎるひとの群れを
嘲笑うような風が吹いた

涙の産声と
抑圧する光
すべてが揺らめいて
仰ぐ(そら)は遠く

仄暗い世界で
餓えた獣の眼で
砂を噛む指先
凍える怒りの矢

物言わぬ冷たい石に
刻み込まれた記憶の名を
繰り返すことの無意味さと
忘られぬ紫の夜明け

まだ何も掬えない両手で
愛を掴めると思っていた
幼い夢の目醒める頃に
花は咲いてくれるかしら

汚された記憶と
綺麗な面影と
すべてを携えて
越える天の蒼
終わらない季節が
心を蝕んで
永久(とこしえ)に彷徨い
何処まで行けばいいの

涙の呼ぶ声と
抑制する光
怯えた心臓で
まだ振り仰ぐ

仄暗い世界で
餓えた獣たちの
罅割れた唇
雷鳴 鳴り響く

焔の砕け散る
壊れた夢の中
凍えた怒りごと
闇が覆い隠してゆく

風が止まない
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