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荒寥に花

産まれた朝
何も知らない
かなしみもない
無垢な薄い目蓋
くれなゐの頬
触れた指先を(おも)
不意にこころ抉る
燦然と降る雨の音

果敢なくある
空は果てもなく蒼く
透明な風のただ渦巻くを見ている
立ち尽くしていた冬ざれ
あらしの往く先
まだ遠くに花の散らふ
いのちの降る

めざめた朝
何か失くしている
予感がある
黒い曇天の日
蒼白い頬撫でる
濡れた冷たさに
酷くひりつく喉
叫んでいる
響く声もなく

ただ呼んでいる
消えゆくいのちの名前
揺らめく焔に浮かんだ面影
祈りは形無く佇んでいる
あらしを越える術もないままに
花を夢む

綾なす憧憬の稜線に佇んでいる
揺れる朧な影
遥かにいて近く まだ遠く
手は届かない

儚くある
空は果てもなく蒼く
絶えざるあらしに打ち震えている
すべては頽れて土に還る
遠くに爛漫の花の散らふ
芽吹いている
終わりの言祝ぎがある
いのちの降る
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