忘れ形見 暗い朝の窓から滴りながら降る光君を送ったこれからを生きる術を絶とうとして硝子玉の眼を塞いでしまったこのまま壊れてしまうのただ息をする人形それで善いと思えるの安らぎを償いに代えてどうぞこの身を燃やし尽くして一人夜の外から月を想って哭く歌が君に宛てた筈なのに君に届く理由を失くして関節は錆び付いて動けなくなったこの世の黄昏まで君と離れないつもりだったでも何もない此処には何もない君の居た証さえもこのまま潰えてしまうの風化していく情景それを罪と思うなら記憶すべて縛って良いどうかこの身を捩り切るまでもがきながらいつも夜は明けて君のいない空白を思い知らされる声を聴きたかったこのまま忘れてしまうの鮮やかな思い出になって一人で生きるくらいならこの身を捧げたって良いどうか、どうか君と生きていたかった PR