ひだまり 薄れる記憶を追いかけて抱き寄せた細い肩幾度目かの冬の訪れはとても儚い春のよう頑ななこころはいけないね苦しんでしまうからどうして優しくなれないのに君の頬はあたたかい穏やかなひだまりが愛しさの輪郭に溶けた君が描いたいのちの色が私のこころ埋めてゆく静かな昼の遺す光が眠る睫毛にキスをしたその冬が終わりを告げる頃散る花の名前を知っていた懐かしい絵本の中には今も少年が棲む捲る指をいくつなくしてそれでも彼は笑っているやわらかな蕾は夢みる咲き誇る花の色どうして大切なものばかり喪ってしまうのだろうささやかなしあわせをすべて抱き締められたなら君が辿ったいのちの中に消えないものがあればいい涙の夜を越えたその先優しい朝があればいいあざやかな君のいのちの花ひだまりに静かに散ってゆく PR