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短歌

私と彼女と先生

私も彼女も彼もみんなこども

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私と彼女


私と先生


先生と彼女


彼女


彼女と私


傘と蝶

ああ愛しのフロイライン

悲しみを歓びなどと嘯けば君が笑ったような気がする

雨はもう降っていたのだはらはらと 君が誰かと踊るあいだに
爛漫に雨など無縁であるべきでフロイラインと君の名を呼ぶ
待ち侘びた言葉もなくて雨音は君の唇に濡れ色を()
蝶は花、花は水、そして傘は雨。わかってはいる。弁えている。

ひらひらと舞う蝶を追い雨の中 濡れる僕に君は笑った
爛漫に頰笑む君が愛しくて 今日も僕は傘なく濡れる
君がまた花に飽いて帰り着く場所が僕にあるから俟ってる

蝶を俟ち花影潜む蟷螂に 君はまだ何も盗られていない、ね?
雨に濡れた蝶の翅は傷付いて それでも僕は君を愛する
もう一度爛漫に咲いて欲しいから フロイラインと君の名を呼ぶ

花降るは蝶を惑わす毒なのに 僕の傘では役に立たない
もし僕があの花のよう咲けたなら 君を捉えて離さなかった
あの花もその花もみな憎らしい だからせめて花傘をさし
「ただいま」と「おかえり」だけで満たされる 君と生きていくと誓える
そしてまた蝶が花に遊ぶ夜をただ見送って微笑む僕は

ひなたの影

少年はいつもそこにいる

日向にも日陰にもいる少年は、膝を抱えて空を見上げる
死にたくて死んだ君に憧れる 死にたくて死ねないぼくを笑う

一緒に飛んであげるよと言った君が先に落ちてぼくは飛べない
君をまだ愛せているかと問われると わからなくなる たださみしくて
目を閉じて柘榴のような残像が意気地無しだとぼくを蔑む
両耳を塞いでなおも響く声「なんであなたはまだ生きてるの」
一緒だと言ったじゃないか 最期までこの手を繋いでほしかっただけ

魘される君の夢を終わらせたい 触れることなどできないけれど
泣きじゃくり「死にたい」なんて嘆くから ぼくが君にしてやれることは
君はぼく、僕はきみ、だから傍にいる 影に落ちた光をあげる
生きるのは難しいね、だからこそ君に笑っていて欲しいんだよ
「産まれたらどんな名前をつけようか ひなた どうか 晴れゆく道を、」
君がいま生きているこの歓びを、誰より君に伝えたいんだ

彼岸花咲いた野辺に座り込み 君はまだいかなくてもいいの
微睡んだ窓際のひなた空を見る 透明な鳥は今日もどこかで
空を往く鳥の翼に(いだ)かれて あこがれは逝く 君のたましい
高い塀 屋上 鉄塔 幽霊とぼくは空を、天国をゆく

煉情

煉獄に焼かれるような恋だった

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もえぎの頃


佐伯芳野


燻る焔


御崎直


恋情


物語に寄せて

その花が散るまで


明日晴れたら


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