声 母を呼ぶ君の声遠い薄野に揺れて暮れ泥む茜の秋空に消えるもう夢は醒めていつか見た背中だけ瞼の裏に強く遺る錆びた憬れがそっと息を閉じる泣いている君の声乾いた校庭に響いて晴れ渡る夕空はいつまでも高くいつまでも高く繋ぐ手の残像と何もない手のひらとしゃがみこむ茜に差し込んだ孤独もう夢は褪めていくらかは歳をとり寂しさにもやがて慣れて生きていける筈だったそっと目隠しして今もまだ夢を憂う夜に抱いている大人になれたなら報われる筈だったのにまだ君が僕の中でそっと息をしている笑ってる君の声いつかの優しい日々に手を振った秋空はいつまでも高くいつまでも遠く PR