秋の郷愁 秋の宵月 薄野(すすきの)揺れて 眺むる懐古風渡る 翻る 影法師 踊る 夏過ぎて 束の間の もみじ葉は 馨る 清(さや)けき彩(いろ)の 薄衣の肌 濁る宵の 一つとない 故き郷の 紅空 瞬きの 合間に観ゆる 秋の宵月 薄野揺れて 幼い記憶 優しい君の 背に負ぶわれて 畦道を往く 鈴虫の声 囁きになる 君の唄に重なって 見上げた月の 金色してる 光と紛う 山風を 嵐とも 詠う夜は 明けて 午(ひる)過ぎの 黄金色 穂波揺れ 転(まろ)ぶ 凛々とする 空気を呑んで 過ぎる日々を 追い駈けた 旧き友の 紅葉襲(もみじがさね) 夢路ふと 現れ出ずる 秋の宵月 金に耀き いとしい思い 玲瓏たれば 言葉に画(えが)き 綴り重ねる 涼やかな音 輪唱になる 君の指はしなやかに 悠然と舞い 指揮を執るよに 光と遊ぶ 秋の宵月 薄野揺れて 眺むる懐古 優しい君の 背に負ぶわれて 畦道を往く 鈴虫の声 囁きになる そのままでいておくれ 見上げた月の 金色してる 思い出のまま PR