春路 いとけない指先を 優しく掴まえて 灰桜の路を 君と歩いた 未だ清くて 痛むことを知らない 遠くなる 仄めく友の背(せな)を 東風(こち)吹いて こきまざる色が寂寞と知り 君の逝く路 あえかなぬくもり 幸(ゆき)過ぎて 晴るる蒼穹 穢れないぬばたまの 黒髪をただ撫でて 微睡み浮かぶ 君の微笑み 未だ青くて 傷むことを知らない 短(みぞ)くなる 仄暗い暁に なづみさえ 溶かされる君をいとおしく見て 哀傷の路 あえかな桃の頬 幸(さち)あれと ほろろぐ別れ PR